1,000本ノック

土曜住宅学校 第2講の講師は長谷川豪さん

私にとって大変刺激的な講演内容だった。

設計を立体的に考える
 もちろん、当たり前のことだが、お話を伺って改めてそう感じた。
 身体感覚を大切にされながら、外部環境と立体的にどうつながるかを考え抜いている。
 完成したとき、自分の身体感覚ではどう感じるのだろう。
 そんな場所が家のそこここにある。
 計画段階からどう感じるかが楽しみになってくるのではないか。

公と個のバランスを考える
 住まいはプライベート空間。
 法律さえ守れば、何でもありといった建物や町に対して閉ざした建物も多い現在。
 半公共的な空間を創り出すことで
 住まい手が建物だけでなく町も含めていとおしくなる。
 併せて、ご近所の方にとっても受け入れやすい建物になっていくように感じた。
 いまの世の中、
 公と個のバランスが崩れている、
 個が強すぎると感じている私としては、大変興味深い。

 この半公共空間は長谷川さんの想定外の住まい方を生み出す。
 これこそ設計冥利に尽きると感じているとのことだった。

こうした建築を実現するために行っていることが
1,000本ノックならぬ 1,000の模型作成。
もちろん、1案件に対してである。
「1案件1年考えるとすると1日3個で1,000個以上になりますね」
当たり前のようにお話しされていた長谷川さん。
100個くらいでは自分が良いと思ったものを越えられない。
それ以上のものを生み出そうとするとき、
この1,000本ノックが重要な手法になっているとのこと。

外装材は住まい手を外部環境から守るための道具。
同時に、半公共空間に使われることも意識しなければならない。
雨とい・屋根など外部に使われる製品を提供してきた会社として
何かお役に立てることがあるのではないかと感じた。
 *その何かが残念ながら見えなかったが・・・

長谷川さんが手がけた建物を是非見てみたい。
依頼された住まい手にも是非会ってみたい。
そう強く感じた。

JIA環境建築賞2008 記念シンポジウム

仙台で開催されたシンポジウムに参加してきました。

受賞した作品はそれぞれ設計者がプレゼンを実施

最優秀賞は IDIC(PS岩手インフォメーションセンター)
 既に16年が経過した建物。室内外の緑とのかかわり方が印象的でした。

優秀賞には既存建物を利用した作品もいくつかありました。
 黒松内中学校は一部屋根を取り払って「ひかりのみち」をつくることで環境を大きく変えていた。
 築100年越の既存の蔵を残して、住宅に取り込んだ事例も興味深いものだった。

土地や地域のもつ特徴や既存の建物までうまく活かした事例が多かった。
これが一つの流れのようである。

建築は産業以上にCO2削減のポテンシャルをもっている。
つまり、これから期待されている業界。
エネルギーを1/2に抑え、かつ残りの1/2は再生可能なエネルギーを使用。

雨のみちもカーボンニュートラルに役立てる方法がまだまだありそうだ。

12月にお邪魔することになりました

カットサンプル

先日UPした雨といのカットサンプルを使った講義の話。

学生たちのコメント楽しく拝読させていただきました。

講師の方の計らいで、授業にお邪魔させていただくこととなりました。
30分時間をいただき、雨のみちについて考えていることを話する予定です。

楽しみが一つ増えました。

エコビルド展

エコビルド展に行って来ました。
昨年よりも多少出展者数が少なくなったようです。

雨水技術パビリオン雨水貯留浸透技術協会が会員企業数社と合同で出展しているようでした。
トーテツ高井社長とお会いしました。
雨水を地下に貯留させる仕事が増えているとのこと。
11月には北京で開催される展示会にも出展されるそうです。
「何か一緒にできるといいですね」と提案いただきました。
ありがたいお言葉です。

特別展示「環境モデル都市 × 2050年のまちをデザインする」では
ひと・環境計画濱田さんにもお会いしました。
今度、弊社も出展するJHBSに関する情報交換。
私は中日の11/13に会場に詰めている予定です。

隣の会場では「パテントソリューションフェア2008」が開催。
様々な分野の特許技術を保有する中小企業が出展していました。
そんな中、OM計画も出展されていました。
技術部長の盧さんからシリカゲルをつかったOMシステムについてお話を伺いました。

銅展 抗菌をデザインする


「銅展 抗菌をデザインする」

会期 2008年10月16日(木)~10月28日(火) ※水曜日(祝日を除く)休館
時間 10:30~19:00
会場 リビングデザインセンターOZONE(6Fロードサイドスクエア)

表記展示会が開催されます。
写真にもあるように、弊社も少しだけお手伝いさせていただきます。

銅に抗菌力があることはご存じの方も多いと思います。
みなさんが日々手にする小銭にも銅や銀の抗菌作用が活かされています。
花瓶に銅のかけらを入れておくと生け花が長持ちします。
生け花の切り口に発生する菌を抑制し、水を吸い上げる能力を低下させない効果があるためです。

木との相性も抜群です。
加工性が良いことはもちろんですが、木が腐る原因となる腐朽菌を抑制する効果もあります。
化粧垂木の木口を覆うように銅の飾りを取り付けるのもこうした理由があります。
古い建物を解体すると土台と基礎の間に銅板が挟まっている事もあるようです。

日本人の場合、年代毎に銅という素材に対する評価が異なるようです。
こうした展示会を通じて、銅に対する新たな認識が若い世代の方にも芽生えると良いですね。

学校建築

東洋大学教授の長澤悟先生の講演を伺う機会がありました。
 *近代建築の2008年8月号でも登場されています。

印象に残ったことは
 公教育を支えるのは普通の先生
 彼らにとって魅力的な教育の場が出来れば、良い学校になるといったお話でした。
 特に大切にされているのは計画プロセス段階からの参画とのこと。

 例えば教科担任制の中学校では、教室に先生が出向く形式が一般的だが、
 教科毎の教室を考え、その場に生徒が出向くというやり方もあるとのこと。
 それぞれの教室がその学びのための場に変わっていくところが良いようだ。

戦後に数多く建てられた公立の小中学校。
耐震補強は大規模改修が進む中、学校建築の果たす役割も大きいと感じた。

学校は子どもたちの夢を育む場であると思うが、
教職員の夢を実現する場として考えることも必要。
児童生徒だけでなく、教職員にもステージを創る、
そのステージづくりに参加することで 普通の先生 の本来の力が発揮できると感じた。

幕張本郷の住まい


見学会に行って来ました。
ご覧の通り、軒といが斜めに走っています。
こうした納まりとすることで、通常、玄関先に出てくるたて樋がなくなります。

但し、このような3次元で軒といをつなぐことは
それなりの技術がないと出来ません。
施工店様がうまく加工をして納めていただいたようです。
ありがとうございます。

今回、建て主様にお会いすることが出来ました。
道路から外観を見ながらいろいろなお話を伺うことが出来ました。
伊礼さんに依頼するきっかけはブログだったというお話。
ITの進歩によって今まで以上に良い出会いが生まれる機会が増えているようです。
伊礼さん田中さんともに同年代で分かり合える部分も多く、
引き渡し以降のお付き合いも楽しみな様子でした。

雨といについてもコメントをいただきました。
・目立たないデザインが良いですね
・特にラッパ(集水器)の形がすっきりしていて良いですね。

喜んでいただいているようで良かったです。
表札も気に入っていただいたようでした。

ちなみに今回UPしている写真は私が撮影したものではありません。
実はカメラも行方不明に・・・。
こちらは先日宿泊したホテルに忘れてきていたことが発覚しました。
既に昨日手元に戻ってきました。良かったです。

マイ箸は2代目を購入いたしました。

住まいの中の自然

小玉祐一郎先生著の住まいの中の自然を読みました。

文中より
「冷暖房設備を駆使して得られる快適さの質と、
 建築的な手法によって得られる快適さの質とは異なるものだと多くの人が気づきはじめた」
「暖冷房設備に頼らず、自然のエネルギーをあまり加工しないで利用する技法ほど、
 素朴だけれど奥の深い「太陽の味覚」を引き出せるような気がします
 良い材料をなるべくそのままに・・・料理の極意と共通するところもありそうです」

温度や湿度では計れない快適感。
余り手を加えず、自然のままの状態を大切にすることで
五感で涼しさや暖かさを感じることができる。
実際に緑のカーテンも、同じ室温でも感じる涼しさが違ってきます。
小さい頃の食事の内容によって舌の感覚も変わるように
どのような住環境で育つかによっても、快適感も変わってくるのかもしれません。

「地球環境問題はあらためて、住まい手の参加の重要性を認識させるきっかけになりました」
「内の環境をよくしようとすれば、まず外の環境をよくする事が重要なのだという認識」
「自然への無関心に対する警告は多くの分野でされるようになりましたが、
 そのいずれもが住まいに関係あるといってもよいでしょう」

住まい手が住環境についてもっと学ばなければならない。
特に冷暖房設備に頼った生活をしている方の多い都会では
小中学校で住環境教育について学ぶべきですね。

「住まいの中の自然で目指したのは、自然に開かれた家
 内と外のレスポンスな関係を築き、太陽や風といった自然のポテンシャルを享受する住宅」
「住まいとしての建物に望まれるのは、
 自然との接触が常に保たれていて自然の息吹が感じられるような機能です」

こんな生活スタイルがこれから望まれるのでしょう。

雨のポテンシャル・雨の息吹も適度に感じてもらえると良いですね。

土曜住宅学校 中村好文先生

先週の土曜日からスタートした土曜住宅学校
会場は自由学園明日館講堂です。講堂といっても教会の礼拝堂を思わせる雰囲気。
100名以上の参加人数だったようです。

今回のお話のメインは 「Lemm Hut」
以前から考えていた住まいを実験住宅として建築。
ご自身や事務所のみなさんでお使いになっているとのこと。

「Lemm Hut」は線や管に頼らないスタイルの住まい。
線や管を断ち切ることで得られる価値や文化があるとのこと。
  *線や管とは上下水道・電気・ガス・電話などライフライン全般

雨水利用・ソーラーパネル・風力発電・七輪キッチン・五右衛門風呂etc
線や管を断ち切ることで新たな生活スタイル・建築スタイルが生まれます。

屋根も雨を集める集水面と考えると働く形状という視点から片流れに。

地下に溜めた雨水は「LEMM HUT」に行くたびに必要量だけ高架受水槽に手押しポンプで揚水。
別棟で五右衛門風呂棟も作り、雨水を沸かしたお風呂に入浴されているとのこと。

食べること・寝ることなど基本的な生活に対して様々な工夫が感じられる住まいでした。

便利さ故に本来必要だったつながりやかかわりまで断ち切ってしまった現代社会。
これからは必要だったつながりやかかわりをデザインしなおす必要があります。
線や管を断ち切ることで本来の自然とのつながり・かかわりがよみがえるようです。
私も一度、体感してみたいですね。

最後は伊礼校長先生と中村先生のやりとり。
受講生から事前にもらった質問を投げかけるなど、一体感のある充実した内容でした。

次回は10月18日 国際文化会館 で開催されます。