屋根も壁も全て単一のシルバー色のガルバリウム、タチハゼで仕上げられているところに惹かれる。
全てが屋根といってよいか？と思う。壁と開口部の構成もうまくまとまって好ましいデザインとなっている。
板金屋さんががんばったかな？外構の曲線の歩道が金属の外壁と対照的でいい味を出している。

屋根のあるコンテストということで屋根はという疑問は残るが、とにかくコンクリート打ち放しとその上に乗る単純でモノリシックなガルバリウムの箱の対比が美しい。コンクリート部分はアプローチを兼ねた通り抜けの駐車場により分節され圧迫感を和らげ、ガルバリウムの箱を引き立てている。その美しさを引き出しているのが横張の金属張りである。開口もなく横の継ぎ目がない一枚張りで完璧な箱を生み出している。設計もさることながら設計とコラボして美しい施工を行った施工業者と板金業者の協働の勝利である。

軒先がその住まいの外観に与える印象は外壁や開口部のディテールよりも大きいのかもしれない。このシャープな軒先をもつ住宅を みてそう感じた。特殊な屋根のディテールを持つ住まいというのは建つ場所を選ぶということである。つまり場にふさわしい屋根を デザインすることが設計者に求められた使命であり、なおかつそれを実現できる施工者が居てこそのデザインである。良きチームに よる優れた屋根は大切な建築文化の一つといえよう。

切妻屋根の片側を大胆に伸ばした大きな軒下空間が印象的な住宅で、庭からの風景はまさに「大屋根の家」になっている。縦ハゼ葺のピッチと開口幅を合わせているところなど、細部にもこだわりを感じるのは、板金工事も行う工務店の自宅兼モデルハウスだからであろう。軒下に面する室内は大胆に開放できるようになっているが、軒先を支える柱を隠す石積みの壁が程よい目隠しになっており、デザイン性と住み心地のバランスがよい住宅である。