大きな切妻屋根の中にさまざまなスケールによってたくさんの居場所が与えられている住まい。リズミカルな屋根の架構、色分けされた内壁など、全てがバランス良く効果的に設計されていると感じた。さらに斜めに開かれた明るい居場所によっておおらかさも生まれている。設計者は周辺環境を読み解きながら「開く」ことと同時に「閉じる」ことも考えているという。 そうした日常を捉えるバランス感覚も非常に優れている。

7つのボリュームが中庭を囲むように配置されている。7 つのボリュームは緩勾配、切妻の金属屋根、駐車場と思われる透過性の高いポリカーボネート？の屋根と多彩だがアイレベルからは背の高い箱と透過性の高いポリカーボネートの屋根のみが感じられ、町に馴染むようにヒューマンなスケールをつくり出している。このようにランダムな屋根は町に馴染むスケール感とリズムをつくり豊かな景観を生み出す反面、雨仕舞いが難しくなる。その難しさに果敢に挑戦したU-40 に相応しい若々しい案である。

住宅を分節して、ボリュームを落として組み立てたことで、まるで古くから建っていて、増改築を繰り返してこの地の風景にすっかり溶け込んだかのような佇まいがとてもいい。
眼を惹くと言うよりも、心洗われるような魅力を感じる。

開かれた中庭をもつロの字型の二世帯住宅で、共有のエントランスとなる大きなピロティをもつ、おおらかな建築である。大きな中庭型の構成の中で小さく平面を雁行させた操作が非常に効果的で、多様な居場所や風景が生まれている。この建築は、大きな一つの家でありながら、小さな棲み家の集積としての集落のようにも見える。時間と共に家族の形は変化していく。今、どのように住みこなし、 将来、どのような変化を遂げるのか、見てみたいと思わせる建築である。

細くて縦に長い不思議なプロポーションの住宅。キュッとした切妻屋根が特徴のシルエット。
最初、外観から内部の構成が読み取れなくて、でもなんだか魅力的で惹かれてしまう。
その理由は１階と２階のあいだの不思議な空間、ぐるっと回った開口部が危うさも感じさせてくれて、気になってしまう。
多分、町中でもそのような印象を与えているのではないだろうか？それも建築の魅力なのだ。

高低差のある敷地に対する建ち方がユニークで、地形をそのまま残し、建築の接地面をできるだけ減らそうとする試みは大変共感できる。シンプルな切妻屋根は大きな軒下空間から室内へと連続して見えるようにデザインされており、内観、外観ともに妻側は印象的で美しい。桁行側の下階接地部分に設けられた木塀による囲いは、全体のデザインの中ではいささか唐突だが、全体としては評価に値する住宅である。