雨のみちをデザインする 株式会社タニタハウジングウェア

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ディテール Detail

駅舎や体育館など大スパンや大規模な公共的施設では、構造自体をあらわし、デザインの主役として美しい空間をつくりだしています。架構があらわしのため雨といの処理がデザインの良し悪しを左右します。主に大架構で構造が外部にあらわしとなる空間の建築に見られる手法です。
もう一つは、柱の中心に沿わせるなど構造と一体となったフレームの一部を構成する手法です。太い構造を分節し、圧迫感を軽減する効果もあります。
この章では、構造体に寄り添うように樋を設け目立せない雨のみちについて述べます。

10-1大架構

1.構造体に寄り添う雨のみち、キャノピーで大屋根の雨を受け庇を支える柱に沿う雨のみち/高知駅(内藤 廣) 2008年

段階的な線路の高架化による駅舎の改築である。『くじらドーム』と愛称がつけられたホームを覆う大屋根は、線路と平行する東西方面に60.9m、南北に38.5m、高さ23.3mのアーチで地元県産スギの集成材と鉄骨トラスの棍構造で構成している。南側のホーム端部から伸びる線路を覆うアーチ型の大屋根は通常と異なり、北側では駅の高架部分を飛び出して地上部分のキャノピーまでアーチが伸びている。このことによりホームにのみかかる南側と広場のキャノピーまでかかる北側では雨のみちが異なる。

【南 側】
南側はスギの集成材アーチ梁が途中で鉄骨梁に変わり、「く」の字でホームに着地している。ホームを覆うアーチ屋根は鉄骨に変わり、少し下がったところで止まり、ホームは南側の広場に開放されている。ホームから「はりまや橋」のある高知市の繁華街、更に繁華街越しに南にある鷲尾山蓮峰が連なる素晴らしい風景が望める。大屋根先端には水平庇を兼ねた軒といが大屋根の雨を受け2本おきに鉄骨梁に沿って設けられた樋により雨を導いている。このように構造体の中心に樋を添わすことで樋としての存在感を消している。
南側キャノピーは人を向かい入れるように広場に向かい跳ね上がった水平性が美しい緩いV字型で、中央の2本の柱で支えている。中央の谷樋から駅側の柱に寄り添って設けられた2本のたてといにより雨を導いている。柱と合わせて3本の組柱のように見える。「にせる」「とけこむ」とも言える美しい納まりだ。

【北 側】
ホームと地上のキャノピーを結ぶアーチ型の大屋根のファサードは南北で異なる。先に述べたように南側は眺望を生かすために開放的で屋根が浮いたように見え軽快だ。それ対して北側は閉鎖的だ。アーチ屋根が両端で大きな下見板張りのような段々の屋根、中央は排煙を兼ねた水平ルーバーとなり、アーチを支えるアーチに沿った先が窄まったRC造の柱から跳ね出したR状の水平キャノピーとともに、人を迎え入れる駅前広場の顔をつくっている。このキャノピーが大きな軒といになっている。余談だがスケールは全く異なるが、まるでル・コルビュジェのインドチャンディガール・州議会議事堂のR状大庇のように見える。これも大きな軒といになっていて、両端のガーゴイルで周辺の水盤に垂れ流し、視覚化している。ダイナミックな雨のみちである。話を戻すが、両端の段々屋根の雨はキャノピーが受ける。アーチ屋根の雨も屋根軒先の軒といが受け、内部のルーバー支持材を兼ねた箱といで導きキャノピーが受ける。キャノピーからはキャノピーを支えるRC造の柱の中心に、2本おきに寄り添って設けられた頂部に三角形断面の受け枡を持つ樋により雨を導いている。このようにほとんど樋は感じられない。大架構の北側のシンボル的な顔をつくる美しい雨のみちである。

2.駅のゲートを作る膜屋根の雨を導く柱に寄り添う雨のみち/グランルーフ ヘルムート・ヤーン+ 東京駅八重洲開発設計共同企業体(日建設計・JR東日本建築設計事務所)2013年

丸の内口の辰野金吾の重厚でありながら伸びやかさも感じる歴史的な顔に対して、八重洲口は現代的で軽やかなゲートのような顔をつくっている。
デザインアーキテクトである世界的建築家のヘルムートヤーンが掲げたデザインコンセプトは「光に包まれるクリスタルの塔と光の帆」である。既に稼働しているガラスカーテーンウォールにより透明感のある左のグラントウキョウ サウスタワーと右のグラントウキョウ ノースタワーを全長約240mの歩行者デッキとヨットの帆のような光で包み込む膜構造の大屋根が軽やかに繋ぎ八重洲口のゲートをつくっている。

全長約240mの幕構造の大屋根の雨のみちを見ていこう。スケッチでわかるように幕構造の大屋根は、幅と傾き、街に帆を開いたように中央が高く、両端が低くと高さが異なりホームの方に下がっていく3次曲面だ。膜は、前面の街に対して大きく傾いたシャープな緊張感と躍動感がある柱とホーム側のどっしりとした柱に架け渡された梁と指示骨組みの下面に吊り下げることで一枚に見える美しい納まりだ。

膜屋根に降った雨は最下部に設けた軒といで受け、どっしりとしたホーム側の柱の両端に寄り添うたてといで導く、きれいに納められた雨のみちである。両端には壁面緑化が施され膜屋根とともに憩いの場をつくり出している。膜構造の大屋根は昼は直射光を和らげ均一な柔らかい光で見たし、夜はライトアップて白く明るく光り、光るゲートを演出、まさに東京の玄関口と言える風景をつくり出している。

3.構造体に寄り添う雨のみち/広電宮島口駅(乾久美子建築設計事務所)2022年

宮島、厳島神社の玄関口である厳島港宮島口地区には2020年に乾久美子建築設計事務所により、新たなフェリー旅客ターミナルとなる観光商業施設『エット(etto)』が開業した。それに伴い2022年に広電『広島宮島口駅』が新たに開業、観光商業施設『エット(etto)』とともに世界文化遺産の玄関口として相応しい景観をつくっている。
ヨーロッパの始発終着駅は街のランドマークであり街に開き連続した街の顔となっている。規模は異なるものの『広島宮島口駅』も始発終着駅で観光商業施設『エット(etto)』とともに街の顔をつくっている。ホームを覆う屋根はSRC造の重厚なキャンティレバーの柱にのっている。ホームを覆う屋根は、鉄骨造のシンプルなアーチに支えられたワンスパンの無柱の切妻屋根で、SRC造の重厚なキャンティレバーの柱にのっていて、スムーズな動線をつくっている。シンプルなアーチが外に開こうとするスラストを止める効果があると思われる方杖が屋根の端部を支えている。切妻屋根に降った雨は端部に設けられたと思われる内樋に流れ込み、たてといは方杖の柱に寄り添い、最後はSRC造の柱に隠蔽し導いている。単純なアーチの形態を乱さない美しい雨のみちである。

10-2フレーム

1.柱の中心に沿う雨のみち/国立博物館 東洋館(谷口吉郎) 1968年

一度「はずす」で取り上げた谷口吉郎が設計した国立博物館東洋館です。「はずす」では内勾配という単純な発想により、雨を内側の谷樋へ導き、登り梁をダブルとし、たてといを通し柱の中に隠蔽、雨といが軒先にでない美しい軒の水平性を実現した正面(西側)の樋を見せない雨のみちの話をしました。(6章「はずす」 6-2内勾配 参照)

今回は裏側(東側)の雨のみちです。裏側はほとんどの人が見たことはないと思います。前回述べたように国立博物館東洋館は、勾欄付きバルコニー(縁側)、柱、梁、そして水平の軒と木造建築が持っている構成そのものです。当然裏側もこの構成です。ただ正面と違う裏側にも回っている勾欄付きバルコニーと水平庇の間はタイル張りの横に長い大きな壁面です。それを縦の細いリブ柱と貫のような水平材で分節し圧迫感をなくしています。

裏側も正面と同様に内勾配で、雨を内側の谷樋に導き登り梁をダブルとしたてといを通し、リブ柱で隠蔽してます。ダブル梁とリブ柱の間に樋が見えます。
リブ柱に隠れたたてといは勾欄付きバルコニー下で露出し、柱の中心に設けられ、地面に導かれます。普段人の目にあまり触れることがない裏側でもきちんと考え抜かれた雨のみちが展開されています。

2.柱を分節し柱の中心沿う雨のみち/香川県庁舎 (丹下健三)1958年

繊細でありながらどっしりと安定感のある五重の塔のような美しさは一度、9章「とけこむ」で取り上げた丹下健三の香川県庁舎だ。(9章「とけこむ」9-3埋め込み樋 参照)
戦後の近代建築の特徴の一つが、柱、梁、軒という特徴を持つ、伝統的木割等の木造伝統建築のRC造による表現である。その代表の建築家の一人が丹下健三である。RC造は当然のことながら木造と比べ物にならないほど、その構造断面は太くなり、自ずとその外観は重厚感を持つ。丹下のその代表作の一つが香川県庁舎だ。香川県庁舎は戦後の「民主主義にふさわしい建築」にというコンセプトのもと県民に開かれた建築をめざして、戦前の威圧的な形態ではなく誰でもが気軽に出入りできる親しみやすい自由な空間を表現した。県庁通りと敷地をスムーズに繋ぐピロティを持つ低層棟もその一つである。

低層棟の後ろに控える高層棟は、跳ね出しの細い梁と分節された梁で支えられた水平のバルコニーが四周に巡り、何層にも重ねられた水平の庇で構成された塔のようである。樋は分節されたダブルの梁の間を通り、太い柱の中心にそうように埋め込まれ、柱と一体化した外観の一部となり、圧迫感を軽減している。この繊細なコンクリートの表現も親しみ易さをつくりだしている。道路正面に立つと、そのシルエットは伽藍配置の回廊の後ろにそびえ立つ、まさに五重の塔のようで美しい。

タニタメモ

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