お互い圧迫感を与えないように様々な屋根で構成された２世帯住宅。
職人技を活かしまとめ上げた設計力の高さは、プラン構成や２世帯の関係を司る繊細な軒先のあり方から読み取ることができる。

道路から見上げるような場所にそっと置かれた灰色の箱。
軒出がある緩勾配の屋根は薄いいたが一枚だけ載せられたような可愛さをもつ。それとは対照的に内部構造は単純なのだが複雑な体感をもつように見える。大きな窓がひとつとトップライトが一箇所。
いくつかの家具が住まいの記号として配置されている以外は生活の様子が見えない。そこに不思議な魅力を感じた。

ほぼ正方形の敷地に対し、L字に折り曲げた切妻屋根をかけ、その下には45°軸を振った平面が展開する住宅でありジオメトリーの組み合わせは一見バラバラなように見える。しかしそのずれが生み出す空間は図面で想像する以上に多様で外に見える風景や屋根との関係が場所ごとに変化する内部空間は極めて豊かで楽しい。
軒を低く抑えたシンプルな外観からは想像し得ない、変化に富んだ空間を是非体験してみたいと思わせる住宅である。

緩勾配で大きな切妻屋根に包みこまれるような建築。広い軒下空間。
開き戸の先の中庭には木々も配置され、穴の空いた屋根からは青空も楽しめます。焼杉と思われる外壁が緑を引き立てています。
道路側にはあえて窓を設置していないようですが、夕暮れ時から夜にかけて、中庭に面した窓から漏れる光が道行く人にも安心感を与えてくれそうです。この建物に訪れる人たちだけでなく、地域の人たちへの配慮も感じられる建築です。