緑青銅板に覆われた元たばこ屋をリノベーションしたカフェ。緑青はそもそも経年変化に寄ってもたらされるもの。 速谷神社(広島)で役割を終えた緑青銅板をあえて陰影のある形にデザインすることで息を吹き込んだようだ。
建築板金業ならではの作品であり、地域愛を感じる建築と言える。屋根のある脇のファサードは、太陽の角度の変化とともに陰影を楽しむこともできる。どのような場になっていくのかにも注目していきたい。

交通量の多い幹線道路に対して大きな勾配屋根で閉じる形式を採用した、まさに屋根の建築である。
軒樋を設けていないため、雨の日には屋根から落ちる雨水がカーテンのように住宅と街の境界を可視化することだろう。
一方で大屋根に包まれた内部空間は、外観の印象以上に明るく伸びやかである。軒下には屋根に包まれた土間があり、居心地の良い居場所となっている。
軒天は室内に同一素材で連続しており、室内からも大屋根の存在が感じられる建築である。

三角形のプランを魅力的に解いた平面を持つ小住宅。
階段を構造要素としている点もなるほどと思った。板金工事による外壁もシンプルで良い。
桜の季節が特別なのはもちろん、緑鮮やかな新芽の季節や風に揺れる葉の動きなど、四季の変化を楽しめそうな住まいだと思った。

平面図も断面図もない応募案はシンプルそのもの。
道路面からの抽象的な立面、特に家形のシルエットに惹かれた。
軒天の素材と室内の素材が同じで、削ぎ落とした空間の魅力や板金に包まれた佇まいの魅力がストレートに伝わってくる。