奄美式「土俵」の屋根構造をモチーフとした建築の構成が目を引く。
中央の方形屋根には雨といはなく、四隅に存在するコンクリート構造の箱に雨水を落とし処理しているのだがその雨処理も極力、といの存在を意識させないところが魅力的である。地域性が表出した佇まいに惹かれる。

道路面から１３００ミリほど上がった敷地を包み込む大屋根の水平ラインが美しい。
その屋根に大きく空けた孔を開け、中庭を設け樹木が屋根を突き抜けて伸びていく・・・
魅力的で緑を間近に感じる半戸外空間を創り上げている屋根を評価する。

スチール製の棟梁に溶接されたプレートとプレカット加工された木材による複雑な屋根形状を実現したところが素晴らしい。
さらに横方向の力を負担させるために、さりげなく設けられた水平面が平面計画に上手に落とし込まれているところも良い。

古い建築のリノベーションでは、何を残し、何を更新するかの取捨選択が難しいが、この建築の佇まいは古い住宅が建ち並ぶ地域の風景の中に溶け込んでいるであろうことが容易に想像でき、丁寧で緻密な設計は高く評価できる。
内部空間は白を基調とした明るい空間で、光が差し込む吹き抜けが効果的に設けられている。
小さいながらも豊かな住空間となっており、既存利活用の可能性を示した意義深い建築である。

ドライな素材感とパカンと開いた開口部が印象的な建築。
一昔前ならこうした住宅はフラットルーフとする設計が多かったように思うが、ここでは寄棟屋根が載りしっかりと軒樋がぐるっとまわっている。そうしたディテールの選択は外壁の汚れを防ぐといった機能的なことではなく、どこか可愛らしさを付与するためにこうした屋根が選択されているように思う。