２棟の建築は庇か大屋根で繋ぐのが一般的だろう。しかしこの建築は、切妻屋根の片側が延伸し、片勾配を保ったままカーブして隣の建築の屋根と合流しており、板金屋根と軒樋の納まりに驚愕した。
これを実現した施工者の技術力を大いに賞賛したい。建築的には、既存基礎を再利用するなどの試みもなされておりさまざまな挑戦は高く評価できる。
ルーバー状の柵や外構計画についてはいささか疑問が残るが、屋根の建築としては高く評価できるものである。

屋根を分節することによって町に馴染ませようとする佇まいに好感が持てる。
雨といは竪樋の処理で決まると考えているのだが、鉄骨柱と竪樋のまとめ方が美しいと思う。

お茶の産地である地元のお茶畑を思わせるような屋根が可愛らしい。
屋根が外部に大きく伸びて、包み込むような半戸外空間を創り出しているのも魅力的。
構造の円柱に溶け込ませたであろうアルミ竪樋の処理も良い。

NIMBYとされる施設こそ、美しく、人々に親しまれ、愛される存在となる必要があるのではないだろうか。
この公衆トイレは、まさにそのような施設である。近年、奇を衒った公衆トイレが都内でブームになっているが本施設はそれらとは一線を画すものとなっており。細部まで余分なものが徹底的に排除された、シンプルな佇まいとなっている。馬場川沿いの地域景観形成の一助となるべく、末長く地域の人々によって
愛着を持って維持されていくことを期待したい。

美しい自然の中に溶け込むような屋根の佇まいが美しい。
そこに付随する緩勾配の下屋が豊かな軒下空間を生み出している。内部から外部へと繋がる様々なスケールの変化や木、石といった素材の在り方、開放できる建具のデザイン、家具に至るまで細やかに設計がなされている点も素晴らしい。

間口7.5間、算数勾配の屋根が載った小さな店舗。
土間と板間によって内部空間に変化をつけたり梁を現しにしたりと、その手法は住宅設計に近い。
お店に行くというよりも知り合いの家の居間に行く雰囲気があるように見えた。機会があれば訪れてみたいと思う。