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IntroContentAbout雨のみちデザイン

ながす

 “みせる”手法が横樋のみで雨は開放したのに対し、竪樋以外のものに添わせて地面まで雨水を見せながら流す手法です。代表的なものは伝統的な日本の建築に見られる鎖です。横樋から直接鎖等をたらすことで、呼び樋がなく屋根をスッキリきれいにみせることが出来ます。その他壁にニッチを設けた開放型の樋、竪樋の一面をオープンにしたコの字型の開放型の樋、壁面それ自体を雨のみちにするデザインと様々な手法がみられます。この章では、鎖、壁面のデザインのディテールについて述べて行きます。

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構造そのものが樋となるダイナミックなファサード
「群馬音楽センター」(アントニン・レーモンド/1961)

構造そのものが樋となるダイナミックなファサード

 群馬交響楽団の本拠地である「群馬音楽センター」は、市の予算と市民からの寄付でつくられた「理想の公共建築」と言われた建築です。市民の憩いの場である高崎城址に建設され、現在でも市の中心施設の一つです。

構造そのものが樋となるダイナミックなファサード

 音楽ホールとして必要な最大60mスパンの無柱空間を山形断面のRC造折板構造でダイナミックに実現しています。ホールの屋根に降る大量の雨の処理は大変です。屋根に降った大量の雨水は、屋根面から壁面に連続する一体的な折板自体が大きな開放樋となり谷を流れて足元の砂利敷の地面に導かれます。まさに構造そのものが樋となり、樋のないダイナミックで美しいファサードをつくり出し、半世紀経った今でも色褪せず市民に愛されています。

あえて雨筋をコンクリート壁面に残すデザイン
「リコラ・ヨーロッパ社工場・倉庫」(ヘルツォーク&ド・ムーロン /1993)

あえて雨筋をコンクリート壁面に残すデザイン

 スイスのハーブ菓子メーカーリコラ社がフランスに建てた工場、倉庫で、60m×30mの平面の建物の長手方向に8mの大庇が両側に跳ね出しているシンプルでダイナミックな形態です。長手方向の正面、大庇の軒天にはポリカーボネートに大きな木の葉がシルクスクリーンでプリントされた独特なファサードで、この木の葉が見る角度、時間などによって刻々と変化し豊かな表情をつくっています。それに対して短辺方向はコンクリート打放しです。降った雨はこの短辺方向の壁を伝って地面に導かれます。通常汚れないようにコンクリート天端で工夫し雨を逃がし、打放しの壁には極力雨が流れないようにします。まさに逆転の発想でその雨筋がコンクリートの壁に残りファサードのデザインとなっています。

雨筋と時の経過がファサードに生み出す縞模様
「キョロロ」(手塚貴春、手塚由比/2003)

雨筋と時の経過がファサードに生み出す縞模様

 蛇が頭をもたげたような特異形態が周辺の森と調和し建っています。「キョロロ」と名付けられたこの建物は、冬雪で埋まってしまう豪雪地新潟県十日町市松之山山中に建つ自然科学をテーマとした教育研究施設です。積雪時は約2トンにもなる積雪荷重に耐えるように耐候性鋼板の全溶接でできています。全てが鉄板のためこの蛇は生き物のように夏と冬で約20cm伸び縮みします。積雪を考え、開口部も水族館に使われるアクリル板が使用され、建物全体に突起物がないフラットサーフェイスでできています。なので、蛇には樋という余計な物はついていません。降った雨は屋根から壁面に伝わって地面に導かれます。降った雨は耐候性鋼板に雨筋をつくり出し、時とともに変化する深みを帯びた茶色の縞模様の落ち着いたファサードを生み出します。

雨水を屋根から壁へとスムーズに流す
「A」(青木淳/2007)

雨水を屋根から壁へとスムーズに流す

 「A」は、建築家青木淳が設計した小住宅です。軒の出がまったくない切妻屋根の単純な家型です。屋根勾配と連続する平面は屋根と壁が同一の塗装鋼板で葺かれていて単純さを強調しています。塗装鋼板をハゼ(板金工事における細工で、両材の端部を折り曲げて巻き込んで接合する方法)でつないだ平葺きの仕上げです。折り曲げられた端部は漏水を防ぐ鼠返しの役目も果たしています。また、屋根と壁の接点にはハゼが来ないようにまたいでいるため、屋根と壁の連続性が強調されるとともに、降った雨水は屋根から壁へとスムーズに流れます。屋根と壁が雨のみちとなり樋がないデザインを実現し、美しい家型をつくっています。

一枚の大屋根で効率よく雨水を集める
「サザンハイランドの住宅」(グレン・マーカット/2001)

一枚の大屋根で効率よく雨水を集める

 グレン・マーカットが設計したオーストラリアの「サザンハイランドの住宅」は屋根が壁に連続した湾曲した波板鉄板の長い大屋根のデザインが印象的です。広大な草原に立つ住宅でこの湾曲した大屋根が、冬期の寒さの厳しい南西の卓越風から家を守っています。

一枚の大屋根で効率よく雨水を集める

 ダイナミックな大屋根ですが、地面の際に少し浮かして樋を設けることで間延びしないシャープな印象をつくっています。また、一枚の大屋根で雨を受けるデザインは、印象的な外観をつくるだけでなく、地球上で最も降水量の少ない大陸のひとつ(平均年間降水量600mm未満)であるオーストラリアの気候の中で、雨水を余すことなく集めることができる、非常に理にかなったかたちです。

棚田のように段々と雨水が落ちていく美しさ
「出雲大社庁の舎」(菊竹清訓/1963)

棚田のように段々と雨水が落ちていく美しさ

 菊竹清訓設計の「出雲大社庁の舎」は、1953年に火事で消失した木造の舎を復興したもので、耐火を考慮しPCaPC工法(プレキャスト、プレストレスト工法)、HPシェル工法などの当時最先端技術のRC造でつくられています。田んぼの稲刈り後に見られる稲穂を干した「稲架(はさ)」をイメージした段々の形態です。

棚田のように段々と雨水が落ちていく美しさ

 段々の一つ一つが樋の役目を果たしていて上の横樋から段々と下の横樋に落としていく方法で“雨のみち”がつくられています。これは日本の山間の農村に見られる美しい棚田にも似ています。上から段々に流れ落ちる雨水が時間とともに横樋に雨の跡をつくります。これは建築が時間とともに雨が流れる自然現象による雨筋自体が外観の一部となり、雨という自然の恵みと一体となった美しいデザインです。

タニタメモ

鎖樋(くさりとい)

 こんにちは!タニタハウジングウェアの岡田です。今回は、堀さんに建築物の壁を“ながす”“雨のみち”を紹介いただきました。

 私たちは、同じように雨を“ながす”新しい製品の開発をかねてより進めてきました。それが新しい「くさりといensui」です。

鎖樋(くさりとい)

 街中では比較的目にすることの多い、リング状の「くさりとい」ですが、これまでのものは、雨が飛び散ってしまうとか、装飾として主張しすぎていてデザイン的に使いづらい、というイメージがありました。

 そこで私たちは、“雨の飛散が少なく、主張せず建築にそっと寄り添うデザインのくさりとい”を開発しました。建築家や設計者の皆さんが設計する建築物に、さりげなく納めていただける、半製品を目指していますので、ぜひ一度、手に取ってみてください。

 また、雨とい、屋根、壁、金属外装など、雨にまつわることであれば、何でも気軽にお問い合わせください!「雨のみちデザイン」の質の向上に、少しでも貢献できたら幸いです。

 

雨とい、屋根、壁、金属外装など、雨にまつわることであれば、何でも気軽にお問い合わせください!
「雨のみちデザイン」の質の向上に、少しでも貢献できたら幸いです。